地震大国といわれる日本において、不動産購入と災害リスクは切っても切り離せない関係にあり、多くの方が、自然災害リスクを懸念し購入を躊躇している。しかしながら、具体的にどのような大きな損失があるのかといわれると答えられない方が多くいる。
今回は大きな地震災害が不動産にどのような影響を与えるか考える。
Ⅰ大災害とマンション価格
2016年熊本大地震が不動産価格にどのように影響を与えたか、どのように復帰したかを見てみよう。
2016年のデータ
(西日本不動産流通機構 サマリーより)
2017年のデータ
(西日本不動産流通機構 サマリーより)
成約㎡単価をみると、熊本県では震災以降も価格が下がっていないことが分かる。当然取引数は減っているが、
大きな地震があっても、マンション価格が下がることはなかった。
Ⅱ倒壊建物種別と件数
(熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会 報告書より抜粋)
※S造:鉄骨造 RC造:鉄筋コンクリート造
このようにRC造の新耐震基準(1981年以降)が最も被害が少ないことが分かる。
Ⅲマンションが被災したら
まず、最も重要なことは管理組合が機能しているマンションを選ぶべきである。修繕積立金がしっかり貯まっているかの確認を必ず行うことが重要である。
次に保険の内容をしっかり考えることである。小規模マンションであれば、地震の被害も専有部に及ぼす場合があるので、注意が必要である。
区分所有法、被災マンション法については長くなるので、個別に相談してほしい。
マンションは管理組合員の多数決で決まるが、その多数決に反対する者は買取請求権があり、自分の権利を管理組合に買い取るよう請求が出来る。
【まとめ】
①管理組合が機能している、修繕積立金を確認して購入物件を選ぶ
②新耐震基準で、大規模修繕が行われていたか等を確認する
③地震被害とマンション価格にあまり影響がない 売り急がないことが重要である