オーナーチェンジ物件と空室物件について

今回は、中古マンション(区分所有)のオーナーチェンジの価格差について考える。

不動産の保有を自分の使用ではなく、資産形成や不動産のために購入する場合、いかに安く購入するかが重要である。これは疑いようもなく、多くの不動産業者や不動産投資家が望んでいることであろう。

不動産は適正な価格というものが存在しているようで、実は存在しない。なぜなら、不動産はこの世に一つしかないものであり、売り手の予想している価値よりも、買い手がより高くその価値を見出している場合がある。

例えば5000万円で購入した中古マンションを5年後売却しようと考えた。

不動産業者に査定を依頼すると、不動産業者は原価法、取引事例法、収益還元法を駆使して5500万円と査定した。

5500万円で売りに出そうと近所の方にお話しすると、隣人が6000万円で買いたいと言ってきた。

この隣人は両親の介護が必要であるため、近くに両親を呼ぶ必要があった。

相場では5500万円であることはわかっているが、どうしても隣人の都合上必要なので、相場より500万円高く買い上げるというのだ。

この場合、売主の想定売却金額 5500万円に対して、買主の購入希望金額つまり、買主が期待している便益に対しての価値は6000万円ということになる。

こうして、不動産には必ず、個別的事由というものが価格に反映されている。不動産市況データでは不景気で、価格が下落している場合でも、こういった個別的事由が考慮され、高く売り抜けたという事例は多い。

反対に、安く売らなければならない状況というものもある。不動産業者や不動産投資家は日夜この個別的事由によって安くなっている物件を探している。

しかしながら、そういった事情も最近は知れ渡っているので、安く買える物件などほとんど見当たらなくなっている。競売物件や紛争中の不動産でさえ、相場と同等程度に取引されているのだ。

つまり、現在において不動産を安く購入できるのは情報に長けている不動産業者くらいしかなく、その不動産業者でさえ安い物件を購入できないでいる。

しかし、そんな中、平均して20%安く不動産購入が出来る方法がある。本日の本題はこれである。

現在、中古マンションの現況を種別で表すと、

①オーナーチェンジ (賃貸中)

②居住中(所有権者が住んでおり、売却時に退去する)

③空室 リフォーム、リノベーションなし

④空室 リフォーム、リノベーション済

同じ物件はこの世に一つもないが、全く同じ物件でそれぞれどのときの金額が安いか仮定してみると、

一番安いのは①オーナーチェンジであり、最も高いのが④空室 リフォーム、リノベーション済である。②と③においては、データ等で一概には言えないが、筆者の所感として、②よりも③の方が高い場合が多い。よって順位をつけるとしたら、一番安い物件は①から④まで順番に価格が高くなっていく。※あくまで一般的であり、上述した個別事由等により変動する場合がある

では①のオーナーチェンジがどうして安いのだろうか。

【オーナーチェンジが安い理由】

1需要者の数が少ない

→空室や居住中であれば自己使用目的で購入する場合がある。つまり、自分で居住するために購入するので、そういった需要者はオーナーチェンジを購入しない。また、日本の住宅ローンは居住用の不動産にしか適用されないため、オーナーチェンジの物件であれば、金利が安く、フルローンも出来る住宅ローンを使用できない。

2借入する際、住宅ローンを使用できない

→1でも説明したが、居住用ではないため、金利の優遇の大きい住宅ローンは使用できず、一般的に頭金で物件価格の2割程度、諸費用で7%、合計27%現金を使う必要があるため、居住中や空室物件よりも安くなっている

3室内の確認がとれない、賃貸借契約の引継ぎ

→日本の慣習により、賃貸中の物件の室内は直接立ち入って確認が出来ない。それは賃借人と賃貸人の権利によるもので、所有者だからといって勝手に立ち入ることは許されないためである。また、賃貸借契約も引き継がれるため、少し安く貸し出している場合であっても更新まではその賃料を継続しなければならない。

4自己使用できない

→所有者であるが、賃貸中であるため使用が出来ない。トランクルームだけ使わせてもらうといったことも出来ない。共用部については使用できるマンションもあるが、専有部分については賃貸期間中、使用することが出来ない

以上の理由によりオーナーチェンジ物件は空室や居住中物件よりも安いのである。

この安さを利用して、オーナーチェンジ物件を購入し、空室になるタイミングで販売するといった手法を使っている不動産業者も多い。

筆者による主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の中古マンションの成約事例と空室の比較

(同じマンション、売却年数が3年以内、階数近いもの)をすると最大で約2倍以上安く、平均して約20%安くなっていた。

2倍の開きがあった例

港区 タワーマンション 築15年 24階

約70㎡ オーナーチェンジ 7380万円

約96㎡ 空室      19800万円

こちらを利用した不動産投資方法については別途資料があるので、問い合わせ頂きたい。