再開発と不動産価格について

先日お話しした内容は東京の不動産バブルが世界的にみるとあまり加熱していないという話をした。今回は、不動産価格と再開発がどのような影響を与えるか考えていきたい。

今回、不動産価格と再開発の関係を見るうえで、令和4年現在のデータを引用することは避けた。理由は2つある。

  • 理由1 現在首都圏では不動産価格が上昇傾向にあるため、どの地点においても不動産価格は上昇しているので、上昇原因が再開発とは言えないため
  • 理由2 不動産価格の下落傾向の時期であっても、再開発は行われており、そのときの不動産価格をみることで再開発がどれだけ不動産価格に影響を及ぼしているか考えることができるため

また、今回は客観性を保つため、不動産の個別データの収集ではなく、国土交通省が講評しているデータを見て調査を行った。

それでは日本の不動産の歴史をみてみよう。

昭和63年、いわゆるバブル崩壊が起き、不動産への融資引き締め政策が行われた。その2年後、平成2年土地基本法の改正が行われ、不動産評価のルールが変わった。下記の表を見ると、平成3年に不動産価格が大きく下落している。これがいわゆる不動産バブルの崩壊である。その後、緩やかな下落から平成18年上昇に転じる。リーマンショックが起きる平成20年までは不動産価格が上昇し、平成21年リーマンショックによる再び不動産価格は下落する。平成23年3月に東日本大震災が起き平成25年まで不動産価格は下がり続けた。

(国土交通省 地価公示 データより)

公表されているデータが平成22年からなので、平成22年の地価が上昇しているエリアから見ていこう。

【平成22年】 日本の地価調査地点の約99.7%が不動産価格が下落しているとき

(国土交通省 地価公示 データより)

平成22年では日本中の地価が下落していた。しかしながら、上記の7地点特に名古屋市緑区においては上昇が顕著であった。理由は以下の通りである。

名古屋市の緑区は平成17年から、名古屋市における成長センターとして、地価上昇があった。その大きな理由は名古屋市の地下鉄の延伸である。桜通線の延伸が2011年に決まっており、新駅周辺の商業地の需要が高まったことで地価が上昇した。

次に平成25年を見てみよう。

【平成25年】地価の下落率は落ち着いたが、依然として地価は横ばい、下落が続いている。

(国土交通省 地価公示 データより一部抜粋)

平成25年では、九州新幹線開通に伴って、平成22年よりは多くの地価上昇地点があった。こちらでは東京に絞ってみていく。

①東京スカイツリーの開業 ②渋谷区再開発 ③北千住駅 大学誘致

いずれも再開発によって地価が上昇した。

【まとめ】

不動産価格は、個別的要因と地域要因このふたつで上昇、下落が決定する。

そのうえで、再開発は地域要因をプラスにする効果があり、それは金融危機等があっても有効にはたらくものである。逆に災害等によってマイナスに働くものもあるので、留意が必要である。災害が不動産価格にどう影響するか、また、災害によって下落した不動産価格はどのように回復するかについては、次回以降解説していく。